約1年後。


「…はぁ~、疲れた」


青木がネクタイを外しながら言う。


「大丈夫だったかな?」


心配してる顔で私に聞いてきた。


「大丈夫よ。お父さん、あ―見えて聡君の事、気にいってるってお母さん、言ってたし」


日頃、口数が少ないお父さん。
初めて青木を紹介した時はいつにもまして口数が少なかった。


帰ってからお母さんから電話がありお父さんが喜んでたと聞いていた。


「なら、いいけど」


ホッとした顔でシャツの第一ボタンを外した。


青木の誕生日にプロポーズされ私の実家まで挨拶に来た。これまで2回、家に青木を連れて来たが緊張は今だに変わらないらしい。


ましてや結婚の挨拶となると尚更か。


「私も緊張するかも。聡君の実家に行く時」


「父さんも母さんもみゆきちゃん行くの楽しみにしてるよ。得に母さんが喜んでた。娘が出来たって」


青木の実家にはお盆の時に1泊、お邪魔した。


街から離れた静かな場所。緑が多くて川がきれいで釣り好きの青木にはピッタリだなと思った。