駅の北口改札。

会社の人たちで飲みに行く時とかに待ち合わせ場所としてよく使われる場所。

なので私はなるべく人目につかないように待っていた。

こういう時地味女は得よね。何人か知った顔が通り過ぎていったが、誰にも気付かれなかった。ふふ。

だが彼は違う。

イケメンオーラをもれなく発揮して何メートル先だろうとその存在が分かってしまう。

彼もなかなか気づかないかなーと思ったらなんと向こうもすぐ私に気がついた。

「悪い。待たせた」

と言って全く悪いと思ってない顔。

さすがです、惣谷康介、常にポーカーフェイスで感情は外に表しません。悪いとは思っていても弱みはみせません。

「いえいえ、全然大丈夫ですよ。惣谷さんは約束破るような人じゃないし、何かあったら連絡くるはずだし」

私は連絡先の入った携帯を振った。

「じゃ、行くか」

と、唐突にも惣谷康介は私の二の腕を掴むとぐいっとひっぱった。

「え!?」

突然のことでつんのめってバランス崩してそのまま惣谷康介にぶつかってしまった!

「ご、ごめんなさい!」

慌てて距離を取る。

「・・・悪い」

絶対悪いと思ってない!さっきのは心では悪いと思っていたけど、これは悪いと思ってない!

むしろこけたお前が悪いんだろうといういう目。

何すんねん!とツッコミたいのを押さえて、

「も、もう、そんなことしなくてもちゃんとついて行きますから!」

と、怒ってみせた。

「そうか」

と言って惣谷康介は後ろをくるりと振り向くと、すたすた歩き出した。

え、ちょっと待って速い!

「わ、ちょっと、待って!」

私は追いすがって思わず彼のスーツの袖を掴んだ。

すると、振り返った惣谷康介は優しく私の腕を取って自分のにからませた。

「ほら、やっぱり最初からこうした方がよかった」

は?

ふと顔を上げると至近距離に惣谷康介の顔。

ち、近いよ・・・、それにこれって・・・、

「で、でもこれって、これってまるで・・・」

恋人同士、という言葉は喉の奥に引っかかって出てこない。

「お前が遅いのが悪い」

しれっとした顔をしてからませた腕をそのまま歩き出す。

え、私のせい?私のせいですかっ!?やっぱり私が悪いんですか?

え、何かの罰なんですか?

歩くのが遅いからこうした方がいいと?

何か、何か腑に落ちないっ!

訳がわからないまま惣谷康介と腕を組んで歩く。まるで恋人のように。

ふ、ふふ。そうよきっとこれは夢。

大丈夫、シンデレラの魔法だって12時で切れたんだから。

この魔法の時間は今日中には切れるんだろう。

それまで楽しめばいいんだ!!

私はなんかやけくそな気分で歩き出した。

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地味OL  オフィスラブ  イケメン  俺様  無愛想 

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