人は何故、大切な物を失わないと、その大切さに気付けないんだろう。



あの日の自分の未熟さに、今でも後悔してる。



もう一度あの日に戻れたら俺は、君を抱き締めてこう言うだろう。



「もう俺から離れていかないで」──と。











「あ、あの、私、ずっと前から、木村君のことが好きで……!!か、彼女居ないって聞きました!もしよろしければ、付き合ってもらえませんか……っ」



静かな放課後の廊下に響いた、少し上擦った声で紡がれたその告白は、少しも俺の心に響かなかった。



響くわけが無いんだ。だって俺は、目の前の女の子の名前すら、覚えてないくらい無関心なんだがら。



「……悪いけど、誰とも付き合うつもりないから」



簡潔にそう伝えて、そこから去ろうとする。友人には、こんな俺の振り方が冷たいだなんていうけど、曖昧に優しくして期待を持たせるより、よっぽどいいと思う。



「ま、待って……!!」





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