【完】恋愛距離*.゜ーボクラノキョリー
笑顔*.゜
「よーっ!海行こうぜ海!」
「……はい?」
──8月下旬。
夏休みも残すところあと一週間ほどとなった今日、朝からチャイムが鳴って誰だと思いながら出たら、そこに立っていたのは昴だった。
こんなクソ暑いってのに、相変わらず元気で。
なんとも爽やかな笑顔でそんなことを言い出した。
「いきなり人ん家押しかけて何言ってんのお前」
「え?だから海行こうって」
「なんで」
「夏だから!」
なんだそりゃ。理由になってねーよ。
「……行かない」
「え、ちょ、ま、何で!」
そのままドアを閉めようとした俺を、慌てて引き止める昴。
足先をこちらに入れてきて、閉めさせまいと必死だ。