痛む心を隠そうと、その胸にうずめた顔。だけどそんな私に、その腕は拒むことも受け入れることもなく、ただ戸惑いだけを見せていた。

あの日のように強く抱き締めてくれたのなら、この苦しさも紛れてしまうのに。



……って、なにしているの私……!!



明けた翌朝、出社してきた私はどんよりとした顔で社内を歩く。



「……ありえない、最低、最悪……」



昨日の自分のおこないを思い出してはボソボソと呟きたくなるのも、そのはず。

仕事中に自ら日向に抱きつくなんて、なにをしているんだか……!

ありえない、職権乱用にもほどがある。これ、セクハラになる?パワハラ?訴えられたらどうしよう……!



あれこれ考えれば考えるほど、自分が憎いやら恥ずかしいやら、様々な気持ちがぐるぐるとめぐる。



……私のバカ。

止まらなかった、衝動。胸が痛かった。その心を独占する人がいることを、知ってしまったから。

日向の憧れの人、その口から『好き』とは聞かなかったけれど、日向がその人のことが好きなことくらい話を聞いて簡単に分かった。


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秘書  社長  オトナ女子  イケメン  不器用 

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