素敵な勘違い 〜負け組同士のラブバトル〜
エピローグ
9月に入ったとある平日のこと。私は会社を有給で休み、和馬と一緒に都心近くの公園に来ている。と言ってもデートではない。残念だし、私的にはそういう気分がなくはないのだけど。


因みに今日は私の28歳の誕生日でもある。と言っても嬉しいわけじゃないし、特に感慨があるわけでもない。わざわざ会社を休んだ理由ではもちろんなく、要するに単なる偶然だ。


では、何をしに来たのかと言えば、司法試験の合格発表を見るためだ。


試験の合否はネットでもわかるし、過去2回はそうしたのだけど、3回目の今回は公園の掲示板でそれを知りたい、と和馬が言ったからだ。

それは一つには験(げん)を担ぎたいのと、今回がラストチャンスだから、最後ぐらいは変わった事をしたい、ということらしい。それについて、私には少しばかり異論があるのだけど……


9月になり、真夏の猛暑はやや峠を越えた気がするし、朝晩はいくらか涼しく感じはじめたけど、日が照った日中はまだまだ暑く、和馬の手はジットリと汗ばんでいた。

そう。私達は人目もはばからず、しっかりと手を繋いで歩いている。

私がそうしたくてしてるのだけど、意外にも和馬は嫌がらなかった。いい歳したバカップルに見えるかもだけど、そんなの気にしないもんね。

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