Candy House
「えっ…?」

今度は自分の耳を疑った。

採用…って、まだそんなに時間も経っていなければ話もしていないのに。

「あの…」

「だから、採用だって。

今日からでも働けるんだろう?」

しゃがれた声が呆れたと言うように返した。

「え、ええ…」

言い返せなくて、あたしはうなずくことしかできなかった。

だけど、いきなり採用って…。

まさかこんなにも早く就職先が見つかるとは思っていなかっただけに、どうすればいいのかわからない。

突然の展開に戸惑っているあたしに、
「後は飯でも食いながらいろいろ話そうか」

鬼はくわえていたタバコを外すと、灰皿に押しつけた。

灰皿はタバコの吸い殻で山盛りになっていた。
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