Candy House

怪談ライブから帰ってきた夜

冷房がすごく効いている真っ暗な室内は、寒いくらいだ。

真っ暗な室内にぼんやりと浮かんでいる赤い光はロウソクだ。

そのロウソクを囲むように、あたしたちは円になって畳のうえに座っていた。

この場にいるのはあたしと上野さんと安部さん、工場長さんとさくらさんと星ボンさんと一葉さんの7人である。

「そこに生温かい風が吹いてきて、ロウソクの火が消えました」

工場長さんの語りかけるような口調に、ただでさえ冷房が効いている室内の温度がさらに下がったような気がした。

もう聞きたくないよ…。

耳をふさぎたいと言えばふさぎたいけど、躰は話の続きを求めている。

「真っ暗になった部屋に、男の子の声が聞こえました。

“お姉ちゃん、助けてよ…。

助けて、お姉ちゃん…。”

彼女の目の前には、頭から血を流している弟の姿がいました」
< 282 / 370 >

この作品をシェア

pagetop