Candy House
「って言うかさ、抜け駆けやめない?」

上野さんはそう言ってあたしに近づくと、またあたしの腰に両手を回した。

えっ、デジャヴ?

「言ってるそばから抜け駆けしてんじゃねーよ」

そう言った安部さんに上野さんはバカにしたように笑った後、
「きゃっ」

あたしの胸に顔を埋めた。

「ああ、そうかよ」

安部さんはあたしの足にまた唇を落とした。

2人共何やってるの!?

彼らの人形状態にされているあたしはどうすればいいのかわからない。

胸は苦しいし、足は離してくれないし、食器はまだ片づけていないし…。

2人がようやくあたしを解放してくれたのは、それから2時間経った後のことだった。
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