広い屋上をテクテク歩いて泉の姿を探していると、周囲からコソコソと囁く声が聞こえてきた。


「あ、あれって二年の惣領先輩じゃない? 屋上来るなんて珍しいよね」
「うん。けど、いつ見ても綺麗だよねぇ」
「うんうん。憧れちゃう」


「おっ、二年の惣領未知。あいつスゲー頭いいんだよな。あの眼鏡もかなり知的に見せてるし」
「でも、俺は、眼鏡ない方が好みだな」
「お前の好みは、聞いてねぇよ」


「惣領が一人で屋上来るなんて、初じゃね?」
「誰かと飯とか?」
「マジ? つか、相手誰だよっ。俺がしめてやる」
「お前にそんな権限ねぇよ」


耳に入ってくる声は聞こえないフリでキョロキョロと泉を探していると、一番奥で大きく手を振ってるのが見えた。

「おーい。そーりょー」

またもあの大きな声で叫んでくれちゃうから、周囲の視線が一気に泉へと集まった。


「えっ?! 待ち合わせの相手って、泉先輩なの? ちょっとショック」
「でも、あの二人ならお似合いじゃない?」
「確かに、そうだよね……。あぁ、でもショック」


「惣領未知の相手は、泉絖太か」
「眼鏡はずした惣領を知ってるのは、奴だけか」
「なんだよ、それ。なんかマニアックな感じだな」


「ゲッ。待ち合わせた相手は泉絖太かよ。勝ち目ねぇじゃん」
「元々、論外だって」


そんな囁き声と共に視線たちは、私と泉を行ったり来たり。
客寄せパンダのようなその状況に、やっぱり来るんじゃなかった……。と後悔しても既に遅いけど。