「家に居るのと、全然違うよな」

陸が、ニヤリとした顔をする。

え……。
その不敵な笑みは、何?
泉みたいに変なこと考えないでよ。

「学校じゃ、美人の優等生ってね。家じゃ、父さんにガミガミ言ってんだろ?」

面白そうに聞いてくる。

ず、図星なんですが……。

だけど、そんな私のことよりも。

―――― 父さん……。

躊躇いもなくサラリと口から出たその呼び方に、私はまた驚いていた。
まだ、詩織さんのことをお母さんと呼べない私とは違って、陸は戸惑いも見せずに父さんと言った。

さっきだってそう。

未知――――。

そう呼んで欲しいと強制したわけでも、お願いしたわけでもない。
けれど、陸は当たり前のように未知と言ってくれた。

朝、玄関で言ってくれたように家族を愛してくれている。
想いを素直に口にしてくれる。

言いたいことを、躊躇いもなくはっきりと口にする陸。
けれど、そのほとんどは優しさに溢れた言葉ばかりだった。

顔は詩織さんと全然似てないけれど、心の中の優しさはやっぱり母子故なんだろうな。

黙々と箸を進める顔を眺め、素直で可愛い弟に心の中が温かくなっていくのを私は感じていた。