完璧上司は激甘主義!?
ズボラ部下を意識しない方法
「俺が教えてやるよ」


その言葉は自然と出たものだった。
新の意外な一面を知ってしまったその時から、どこかで新と自分の妹の姿が被って見えていたのかもしれない。

ズボラなところも、掃除が苦手なところもそっくりだ。
社会人になって彼氏が出来た妹にとってみれば、兄である俺などお払い箱だ。
昔、いそいそと妹の面倒を見ていた頃が単純に懐かしく思えたのかもしれない。

同じ会社の人間とか、部下だとかそんなこと考えてもいなかった。
ただ単に、放っておけない。……そう思ってしまったんだ。




「篤人！この前偶然に見かけたんだよ！お前の天使ちゃん！」

毎年恒例となっている新入社員のサロンでの研修が始まって間もないこの日、オフィスを出た俺を待ち構えていたのは裕介だった。

突然降って湧いて出た裕介に、自然と顔が引きつる。

「またお前は突然だな。……なんだよ、その天使ちゃんって」

疲れ切った身体で裕介の相手をするのは、正直しんどい。
適当にあしらったものの、裕介は俺との距離を恋人のようにグッと縮めてきた。
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