完璧上司は激甘主義!?
潔癖上司の気持ちを揺さぶる方法
『今すぐに会社に戻ってきなさい!』


上司に頼まれた書類を届けに向かっている途中、会社から電話がかかってきたと思ったら、電話に出るなり聞こえてきたのは、部長の切羽詰まった声だった。
すぐに返事を返し、ユーターンする。

それと同時に不安が襲ってきた。
私、なにかまずいことしちゃった?って――。

ハイヒールを鳴らしながらも、思い出す。

南課長に振られてからというもの、私はひたすら仕事に打ち込んできた。
タイミングよく念願の企画を上げられることになり、最初聞いた時は驚きだったけれど、次第に闘志が湧いてきちゃったし。
まぁ……その肝心な企画書は迷走中で、締切が近いというのにいまだに上げることが出来ていない。
でもそれは私に限った話ではなく、斗真も中村さんも田村さんもまだ上げることが出来ていないはず。

だからその話ではないでしょ?
他に部長に呼び戻されるようなこと……した?
これでも会社では失態を起こしていないつもりだったけれど、もしかしたら自分の気付かないところで、とんでもない失敗を犯してしまっていたのかもしれない。

なにはともあれ、早く会社に戻らなくては。

ハイヒールを履いてきてしまったことに後悔しながらも、急いで会社へと戻った。
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