私は彼に愛されているらしい
「次の急行に乗りましょう。」

ホームで案内を見ながら竹内くんが呟いた。

つれない態度、こちらを見ようともしないし会話をしようともしない。一体何なの?

「ねえ、切符いつ買ったの?」

「そんなの朝に決まってるじゃないですか。」

何だ?その態度。素っ気ない答えに私の怒りのボルテージは好調に上がっていく。まだまだ上がる予感もするぞ。

何で怒ってるの?

ていうか怒りたいのはこっちの方なのに!

「そう。…ありがと。」

お礼なんて言った者勝ちよ。絶対に払ってやらない、むしろ切符代くらいでごちゃごちゃいうヤツはこっちから願い下げだっての。

私はほんの少しだけ頬を膨らまして電車が来るであろう線路の方を向いた。

横には竹内くん、でも2人の間で会話はない。並んで待っていても近いって距離じゃない。

こんな状態で食事に行くの?これじゃあ美味しいものも美味しくなくなってしまうわよ、勿体ない時間だな。

朝から用意していた割には楽しみにしている素振りもないし…って、ん?ちょっと待った。

「朝に買ったって言った?」

「言いましたよ。何聞いてたんですか。」

余計なひと言はいらないっつーの。でも確かに朝買ったことは認めた。てことは、つまり?

「今日の約束覚えてたってこと!?」

「ああ?」

ぎゃあ!怖い!何でそこだけ強く反応して凄んでくるのよ、卑怯じゃないの!

「俺、空けといてくださいって言いましたよね?」

「言った…言いましたね。」

「まさか清水さんは忘れてたんですか?」

「忘れてないわよ!だからちゃんと車を置いて電車で来たのに!」

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