いちごみるく

グレープフルーツ

コンコン







緊張する。









今までココ来るのに緊張したことなんてない。







今までココ来るのにメイクしたことなんてない。







今までココくるのに何度も鏡をチェックしたことなんてない。








『はい』


村ちゃんが、ドアを開けた。

『あっ…あの…』



『えりごめん!!今生徒来てるから、またあとで良い?』






教科室をちらっと除くと私服の女性が数人楽しそうにソファーに座ってお茶を飲んでいた。







『うん。……わかりました。』









後っていつ?








今の誰?










先週の村ちゃんの誕生日から1週間。








1週間の間で私は先生という敬称をとって【村ちゃん】と呼ぶようになった。






村ちゃんは私を見掛けると頭をポンっと優しく撫でた。






私は彼に授業を教わってるわけでは無いし、
まして高等部の私と、中等部の担任である彼とでは校内で出会うことすら少なかった。


だけど私を知って欲しかった。









ピンポンパンポーン

【3年D組の荻右えり、3年D組の荻右えり、至急第一会議室にくるように】



校内アナウンスで
呼ばれた。

『この声っ…』
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