好きになったわけ

2


「お、重役出勤だなヒロ」

クラスに入るなり、いきなり声をかけられた。なるべく目立たないようにと思って、休み時間を狙って教室に向かったというのにどうして声をかけるかな……

「ま、どうせゴールデンウィークの生活に体が馴染んじまって寝坊したとかいうオチなんだろ?」

そうやってさっきから声をかけてくるのは友人の成田哲也。あだ名はテツ。ちなみにヒロというのが僕のあだ名。
しかしなぜ僕が遅刻した理由を知っているんだコイツは。

「ん?理由か?俺も同じ理由で遅刻したからだ」

……ああそう。聞くんじゃなかったよ……超くだらねえ。

「にしても転校生のやつも遅いな……女の子だって聞いたから期待してたのになあ。今日はもう来ないとか……?」

ちょっと待ってくれ、転校生だと?

「何不思議そうな顔してやがる。休みの前に先生が言ってただろ、休み明けに転校生が来るって」

ああそうか。だんだんと思い出してきたぞ。そうだ、転校生がうちのクラスに来るんだった。んでそいつの名前が

「篠原有希……だったかな。名前は」

かちり、と音が鳴った気がした。
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