好きになったわけ
一章 五月の転校生

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ちょうどその日はゴールデンウィーク明けのよく晴れた月曜日だった。
結局今年のゴールデンウィークは家族旅行も友達との遊びイベントもなく、ただただ寝ては起きて、テレビを見たり読書をしたり、そして思い出したかのようにたまに勉強をしたり…………どこにも青春の雰囲気を持ち合わせない、自堕落な休暇を過ごしただけだった。
と、前途の通りこうした生活が体に馴染んでしまったせいで、今日から再び学校だというのに、僕は盛大に遅刻をしてしまったのだった。
はあ……とため息が溢れた。
高校生になってはや一ヶ月。中学時代はそれなりに勉強のできた僕は、ちょっと背伸びをして地元ではそこそこの進学校である、市立北高に入った。まあ、理由としてはもう一つあるんだけど…………。
当然、同じ中学からこの高校にはいる奴は少なく、はじめのうちはクラスでもオロオロとしていたが、今では友達もできようやく学校にもなれ始めた矢先に、「遅刻」である。
遅刻だけはしたくなかったんだけどなぁ、と心の中で嘆く。いや、口に出していた。
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