恋愛奮闘記
stage.9




気付けばもう10月になっていた。



休業してからはや1ヶ月と少し。
お店の雰囲気は日に日に悪くなっていた。

みんな、休みの日以外はしっかり出勤する。そして技術を磨く為にレッスンをして、夜に帰宅する。



だけど、それ以外どうすれば良いのか。
何をすれば良いのか。

お客様をカットすることが出来ない、カラーすることが出来ない、衰えないように磨いている技術を使うことが出来ない。

今自分達がしていることに、意味があるのだろうかーーー。

でも、誰も何も言わない、触れない。そうやって今まで耐えてきたからだ。



店長は毎日電話を掛け、自ら管理会社に行き、交渉を続けているらしい。

やつれていく店長の顔を見るのは、とても辛い。



「これは何かあるね」

橘さんは、再開出来ないのには何か私達が知らないとんでもない理由があるんじゃないかと睨んでいるらしい。
それが何なのか私には想像もつかないけれど。




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