『隣にいると、なんだかとても、楽に呼吸が出来る気がする』


大学時代に同じサークルに所属していたのが出会い。
社会人になって四年目の今も、頻繁に会ってつるんでいる篠原碧(しのはらあおい)に、何年か前に二人で飲みながら私はそう言ったことがある。


私、片倉瞳(かたくらひとみ)。


あれは社会人になってから付き合い始めた彼氏と別れた後。
ヤケになってむしゃくしゃした気分を、どうにかして晴らしたかった。
週末の夜だというのに、いきなり電話した私の呼び出しに応じて、碧は半分本気で呆れていた。
それでも、ワインを片手にほろ酔いになって私が呟いた言葉に、碧は呆れ顔を隠して苦笑した。


『ドキドキしないからじゃん? ……お互い様だけど』


そう言いながら親父臭く枝豆を齧って、だけど即答した碧。
私もトロンとした瞳を向けながら、そうだねって答えた。


同じようにあっさり同意した私に、なんだよ、って不満そうな顔をしながらも、碧はその長い指で次の枝豆を摘まんで口に運んでいった。

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