話がしたい、と私が送ったLINEに、碧はその日の深夜になって電話をくれた。


『昼間はどうも』って普通に切り返して来るからには、やっぱり碧にとっては何の意味もない行動だったんだ、って思う。
だからこそ、どうして私がこんな心配を……と思うとなんだか虚しくなって来る。


「……雅美ちゃんに、碧の連絡先教えて欲しいって言われたの」


挨拶なんかしてる場合じゃなくて、私はいきなり話を切り出した。
明るい声を出していた碧は、一瞬電話の向こうで絶句した。


「……なんで?」

「なんで、じゃないよ。……碧のこと、気に入ったみたいだから」


意味も無くイライラして、つっけんどんにそう言うと、碧は微妙に沈黙した。
電話で沈黙されると、間が持たない。
苛立ちを隠すように溜め息をついた時、碧が歯切れ悪く会話を進めた。


「あんなことって?」

「……壁ドン、とか」


言ってるこっちの方が恥ずかしくなる。
だけど、碧もようやくそこに気が付いたのか、あ~、と歯切れ悪く唸った。


「……あれか」

「碧が悪いんだからね」

「結果的には、ね。……うん、気を付ける」


小さくなって聞き辛くなる碧の声を拾おうとして、私は思わず指で音量を上げた。


「……なんであんなことになったの?」


自分でも、どこか探るような声になったのを自覚する。
そして案の定、碧は一瞬言葉に詰まって、そのまま沈黙した。

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