デスクが窓際に近いからと言って、本当に『窓際族』な訳じゃない。
むしろうちの会社はブラックか?と思うくらいいつも忙しくて、仕事は山積み状態だ。


私は中堅医薬品メーカーで営業事務を担当している。
営業担当の男性が採り付けて来た契約先の受注管理が主な仕事だけど、普通の大手企業なら経理に任せればいいはずの売掛、買掛事務なんかも発生したりして、デスクはいつも書類で溢れ返っている。
しかも私が担当しているクライアントの営業担当はこの営業第一課の中でも一、二を争う遣り手営業マンだから、仕事量も多いし人遣いも荒いし、正直無茶振りも多い。


のんびり窓辺のデスクで光合成なんかしていたら、書類はいつの間にか積み上げられて、そのうち隣のデスクからでも私の姿は見えなくなるんじゃないか、とすら思う。
今だって。


メールを受信したのに気付いた瞬間、「片倉」と名前を呼ばれた。
マウスを動かしてメールを確認しながら返事をすると、メール送信者の張本人、堀田和成(ほったかずなり)が二つ先のデスクから立ち上がって上着を羽織るのが横目に見えた。


「二十分後に外出する。
今送ったメールのプロポ、プリントアウトして製本しておいて。
七部……いや、十部」

「に、二十分後っ……!?」


本文無しで送り付けられたメールに添付されたプロポの指示は口頭。
その上総ページ数、十ページ分のカラー印刷をして、十部製本。
それならもっと早く指示して欲しい。

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