フウッと大きな溜め息をつきながら、自分の城に戻る。
片方ずつ足を上げてパンプスのストラップを外しながら、壁についた手で玄関の電気のスウィッチを探した。
パッと明るくなる玄関。
狭い廊下の先の部屋は開けっ放しで、一番奥にズンと構えたベッドが私を手招きしてるように見えた。


廊下を歩きながらパンストを脱いだ。
部屋に入ってバッグを放り出して、上着を脱ぎ捨てた。
シャツのボタンを胸の下まで開けてから、皺になる、と気にしながらも、私はスカートのままベッドにダイブした。
途端に一瞬身体が沈み込む感覚。
それほど立派なベッドじゃないけれど、普段の生活の中で一番落ち着くのはこのベッドの上だ。


枕に埋めた顔を少し横向けて、私は無意識にもう一度溜め息をついてしまう。


週初めから妙に疲れたな。
もうこのまま眠ってしまいたい。
メイクを落とすこともシャワーを浴びるのも面倒臭い。
そう思う私はやっぱり女子力ゼロなんだろうか。


――だからと言って、あんな意味深な言葉でからかわなくても。
一瞬『告白』に動揺した私を見逃さずに、直ぐに肩を揺らして笑った堀田さんの意地悪な笑みを思い出す。
ああいう冗談は絶対禁じ手だよ、とボソッと唇で呟いて、私は一瞬目を閉じてからガバッと勢い良く身体を起こした。


って言うか、冗談で良かったじゃない、と自分に言い聞かせる。
もしあのまま『本気』の演技をされていたら、私はなんて返事をしたんだろう。

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