自動販売機に小銭を入れて、何種類かのボタンを押す。
いつもより少し甘めに設定したコーヒーが紙コップに注入されるのを腰を屈めて見つめていたら、「ほら見なさい」と半分呆れ果てたような沙織の声が降って来た。


「だから言ったじゃん。
あんたと篠原君の仲の良さは、傍から見ればそう見えるんだって」


ハアッと、これ見よがしな溜め息をつかれた。
私は取出口から紙コップを取り出すと、肩を竦めて身体を起こした。


「まあ、さすがに付き合ってる彼氏からそんな誤解されてたのは驚いたけど……。
でもあの時のことは、半分以上私が悪いって思ったし」


苦笑を浮かべて、給湯機の前に立つ。
クルッと身体の向きを変えて、私は流し台に軽く腰を乗せた。
そして、熱いコーヒーに息を吹きかけて冷ましてから一口啜る。


「そりゃあそうでしょ。いくら色々忙しかったからって、別れてないのに彼氏と音信不通って。
そんな状況で、篠原君との仲の良さを目の当たりにしたら……」


沙織は壁に凭れ掛かって、どこか辛辣な口調でそう続ける。


「確かに尋常じゃない状況ですけど……。
私、ちょっと興味あるなあ、その草食系の『碧』さん」


自動販売機の前に立って、「何にしようかな」と選びながら、雅美ちゃんがチラッと私を振り返って来た。

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