今は碧と一緒にいるのもなんだか気まずい。


とは言え、銀座のど真ん中。
炎天下の人混みの中で立ち話のままと言うのも酷なことで、何度かの会話の応酬の後、碧が額に浮かんだ汗を軽く手の甲で拭った。


そしてポツリと一言。


「……とりあえず、どっか入る?」


それで入ったのが、通りに面したこのカフェだ。


飲み物のオーダーを済ませた後、碧は私の真っ正面の席で、あち、と言いながらスーツの上着を脱いだ。
そして手をヒラヒラさせて自分にわずかな風を当てた後、テーブルに軽く頬杖をついた。


「で?」


ものすごく短い言葉だけ放って、なんとも意地悪な上目遣いの視線を向けて来る。


「……で?って、何?」


グラスのお水を一口飲んで、私はついぶっきら棒に聞き返してしまう。


混乱して訳がわからないのは、碧じゃなくて私の方だ。
そんな私の不機嫌に気付いて、碧は身体を起こすと苦笑いした。


「宿題忘れた生徒を叱る先生って訳じゃないんだからさ、俺」

「……何なのよ。私の方が聞きたい」

「……いつものことだけど、また相当押されてるみたいだね」

「だから、そんなんじゃない」


思わず顔を上げて、私は唇を尖らせた。

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