きらいだったはずなのに!
4.苦手なもの

 勉強漬けの毎日、それが始まってから早くも二週間が経った。


 つまり、桐島さんと知り合ってからちょうど二週間。


 地獄だと思っていたけど、実際そこまで地獄ってわけでもない。


 相変わらず桐島さんは二重人格だし、いちいちあたしのいらいらポイントを突いてくるから、彼のことを好きかと聞かれたら間違いなくイエスとは言い切れない。


 でも、あたしたちは、意外といい関係を築けているんじゃないかなとは思う。


 そして、やっぱり彼が天才的に頭がいいってのは嘘じゃなかったらしい。


 こんなありえない点数をとっちゃうあたしにでもわかりやすいように勉強を教えてくれて、最近では『あれ、あたし結構いけるんじゃん?』なんて、自信がついてきたくらいだ。


 恐るべし、桐島さん。


 あたしは彼に頭が上がらない思いだ。


 そう心の中で思いつつ、彼に対しての態度は生意気全開だけど。


 一応真剣に教えてもらってる時はあたしだって自粛するし、オンオフは切り替えてるつもり。


 桐島さんも大体そんな感じだし、そのタイミングが奇遇にもあたしと彼は同じだから、なんとか上手くやれているんだと思う。


 あたしは桐島さんを少なくとも好意的には見てないし、それは彼も同じだろうから、ある意味では気が合うとも言える。


 お互いにあまり印象が良くないからこそ、こういう関係が成り立っているんだとも感じる。

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