レディ・リズの冒険あるいは忠実なる執事の受難
真夜中の侵入者
 普段なら一度眠ったなら朝まで起きないのに物音で目を覚ましたのは、まだ見ぬ婚約者候補のことで頭を悩ませていて眠りが浅かったからなのだろうか。

 がしゃん、とガラスの割れるような音にエリザベスは一度起きあがり、ベッドの上でしばし考え込む。かなり大きな音だったと思うのに、耳をすませても誰も起きてくる様子はなかった。

 ということは、この屋敷ではないということなのだろう。これが自分の屋敷内のことならば、すぐに誰か駆けつけてくれるはず。

 ふわ、とあくびを一つして、エリザベスは再びベッドに潜り込んだ。自分の屋敷内でないというのなら、一本道を挟んだ隣の家だろうか。

羽根布団にくるまってぬくぬくとしているのはとても気持ちよくて、レディ・メアリが持ってきたお見合いの話なんてどうでもよくなってしまう。もう一つあくびをすると、あっという間に眠りの世界へと引き込まれた。
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