神様のおもちゃ箱

決別の海


苦戦し、頭を悩ませながらも、試験週間は何とか終わり、大学は夏休みに入った。

大学の夏休みは、高校までと違い、大体七月の下旬から九月の中旬くらいまで。


長い。


俺と輪と望乃は久しぶりに三人でゆかり食堂に集まった。

居場所と感じていた場所に、三人が、ちゃんと戻ってきた。


「おっす……」

この前の事もあり、少しぎこちなかったけど、すぐにいつもの三人に戻れた。



「海、行きたいね。三人で」


輪が呟くと、俺たちは顔を見合わせて笑った。


「行こうよ!」


“三人で”


望乃がぱあっと顔をほころばせて、目を三日月にする。


「うしっ、行くか!海!」


変わらないまま、いつも通りという事が、

当たり前に繰り返すという事が、


どんなに素晴らしい事か実感できた事は、

十九年間生きてきて手に入れた賜物だと思う。


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