愛されオーラに包まれて
◎彼との距離を縮めたい想い~side HARUKA~
朝。

コーヒーのセッティングをしようとコーヒーメーカーに入れる水を汲みに給湯室へ行くと、そこには自分用のお茶を入れに来た桐生さんがいた。

「あ、桐生さん。おはようございます」

私はいつも通りの挨拶をした。

『おはよう。早いな』
「桐生さんこそ。私達新入社員よりも早いんですね」

『朝の方が仕事の能率が上がるんだよね』
「頑張ってください!今日明日で今週も終わりですから。では」

と、私は水を汲み終えたので給湯室を出ようとすると、

『ちょっと待って』

と、桐生さんに止められた。

「どうし…ました?」

ちょっと、せっかくいい感じに話せたのに。また空気悪くなりそうじゃん。

『明日の夜、空いてるか?』

明日?金曜日なのに何の用事もない私。

「大丈夫、ですけど」
『先週のお詫びをさせてもらえないか?』

桐生さんと、ふたりで?
何か、話が続かなそうなんだけど。

「朱里を連れて行ってもいいですか?」

桐生さん狙いだって言うから、ちょうどいいと思ったんだけど。

『それは望まない。俺は高松とふたりがいいんだけど』

桐生さんが私を真剣な顔で見たため、

「分かりました」

としか答えられなかった。
< 48 / 345 >

この作品をシェア

pagetop