【完】神様のうそ、食べた。
八  触れ合う


ちょっと荒々しくなった運転で、部長のマンションに着くと、直ぐに駐車場に車を置くと、手を引っ張られてオートロックのドアを通り、エレベータに乗る。


エレベータ内で部長がネクタイを弛めたのを見て、この先に何が起こるのか想像すると頬が赤くなる。


――逃げ出したい。
――逃げ出したくない。


でも何をどうすれば良いのか分からない。


わ、私、恥ずかしながらこの年で未経験だ、し……。



そうじたばたしつつも、部長の部屋の前まで来てしまう。


9階の一番端。


黒を基調にしたシックなマンションだから一人暮らしの人が多いのかな?





「段ボールだらけだけど、どうぞ」


ドアを開けて貰って入ると、廊下の壁に寄せられて段ボールが積み上げられている。


「有給使って引っ越し準備してたんだ。明日引っ越し」


「ええ!? そんな大変な時に」


――来て良かったんですか?


そう言おうと振り返ろうとしたのに。



ぎゅっ




後ろから抱き締められてしまった。
< 240 / 281 >

この作品をシェア

pagetop