・約束・2
・・・つもりだったが、春夏に着ていた服の裾を掴まれ、
呼び止められた。

「まって・・・」


「春夏?」


「昨日は、ごめんなさい。私、感情的に言い過ぎた・・・」


素直に謝る春夏が愛おしくなり、春夏をその場でそっと抱きしめた。

「・・・オレの方こそ・・・ごめん」


「雅也は悪くないよ・・・」


勝手に雅紀を産んだ春夏も、オレに何も告げずに病院へ行った
百合子も、自己中で勝手な事して同じだ・・・と。
それなのに、春夏には雅紀がいてオレと結婚して・・・自分ばかりが
幸せで申し訳がないと気にしている。


「春夏は瀬戸川さんとは違う。オレの自慢の妻だ」

雅紀を身ごもり、オレに迷惑をかけまいと
一番助けが必要な時期にオレから離れ、目の前から消えた・・・
独りで産んで、大切に育ててきてくれた。
どんなに感謝してもしきれない・・・


「雅也・・・」


「何?」


「・・・仲良く・・・しよっか」

春夏はメイクしたばかりのグロスがひかれた唇を重ねてきた。


「仲直りの印に・・・仲良くしたいの」

そう言って、Tシャツに手を忍ばせる。


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