アイドルとボディガード

アイドルの危機とボディガードの罪








奴は忽然といなくなった。
何も別れも告げず、本当突然。

あいつがいなくなった日、迎えに藤川さんが来た。
どうしたのと聞くと、あの犯人が捕まったから桐生は辞めたって。

いつの間にかあいつが隣にいることが当たり前になっていたから、あまりにも突然のことにショックが隠しきれなかった。

そうだ、最初からそういう契約だったんだから。
犯人が捕まればいなくなるなんて当然じゃない。
だけど……、

だけど、まさかこんな急に。

最初は非常識でやる気のなさそうな奴に怒ってばっかだったけど。
奴はちゃんとあたしを守ってくれて、本気で心配してくれていた。
そんな奴を私は心から信頼していた。

ただのアイドルとボディガードと言った関係だけじゃない。

そう思ってたのは私だけだったの?

まだ、ちゃんとお礼も言えていないのに……


いきなりいなくなるなんてひどいよ。













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