涙ドロップス 〜切なさを波に乗せて〜
黒い海
 


 ◇◇◇


翌日、文化祭3日目の早朝。


いつもの船着場で、夕凪のサーフィンを見ていた。


朝の海は冷たくて、サーファー達はウェットスーツを着ているけど、

夕凪は冷たさなんて、気にしない。


今朝はサーフパンツと、サーフィン用の青いTシャツ姿だ。



強い風が吹き、2メートルの波が立つ。


夕凪は父に教わったばかりの新技を、繰り返し練習していた。


手を振っても気づかないほどに、
真剣な顔をしている。



最近はずっと、こんな調子。

もうすぐ千葉で大きな大会があるから、必死になっているのだ。



見慣れた夕凪のサーフィン姿に、
胸が熱くなる。


真剣に夢を追いかける姿に、
心がときめいた。



波にボードを走らせる姿は、
力強くて。

キラキラと朝日を浴びて輝く体は、とても綺麗。


強さと美しさ。

夕凪のサーフィンが大好きで、
ずっとこのまま見ていたくなる。



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