不器用なシンデレラ
5、死神は待ってはくれません
 私の場合、不幸は突然やってくる。

 前触れなんてない。

 幼稚園でピアノを弾いたあの夜、理人くんと一緒に歩いて帰って十数年ぶりに彼の家に招待された。

 理人くんに似た綺麗なおばさんが得意のビーフシチューを作って私たちを出迎えてくれた。

 おじさんもおばさんも何も変わらない。

 おばあちゃんも理人くんが気を利かせて招待してくれたみたいで、本当に久しぶりにみんなで楽しく食事をした。

 夢のような時間だった。

 幸せの余韻に浸って次の日出勤すると、うちの課のメンバの半分はもう来ていて仕事を始めていた。

 理人くんもその1人だ。

「鷹野くん、おはよう」

 いつもより元気に声をかけて、作ってきたお弁当を手渡す。

 容器はタッパーになちゃったけど、今日会社が終わったら買いに行こうかな。
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