不器用なシンデレラ
「ああ、悪い」

 理人くんが素早く受け取ってカバンに入れる。

 目線は1度合っただけ。

 昨日の出来事が嘘のようだ。

 ひょっとして私はまだ夢でも見てるんだろうか?

「お前、ボーッとしてないで早くPC立ち上げてメールのチェックしたら」

 今日もまた理人くんに注意される。

「・・・すみません」

 こういうクールなところは変わらない。

「あっ、山下さん来たんだ。ちょっと会議室来てくれる?」

 ちょうど出社してきた本田さんに呼ばれ、近くの会議室に入る。

「目、凄い腫れてるけど大丈夫?座って」

「はい。昨日はいろいろとご心配おかけして本当にすみませんでした」

 本田さんの前でぺこりと頭を下げてから椅子に座る。
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