木曜日の貴公子と幸せなウソ

崩れる関係



16歳の私は、まだまだ幼かったのだろう。

よく考えていたら、もしかしたら引き返せたかもしれなかったのに。

舞い上がっていて、何も見えていなかったんだ。





「萌さ、彼氏と上手くいってる?」


クリスマスやお正月。

初めての彼氏である成瀬先輩と、イベントを楽しんだ私。

冬休みが明けて、3学期が始まった。

始業式の最中、リサがコソッと後ろから小声で話しかけて来た。


「うん?順調だよ?どうして?」

「あ、うん。順調ならいいんだ……」


ニコニコとしながら答えた私に対して、リサは言葉を濁した。

不思議に思いながら私は首をかしげる。


「リサ?」

「……見たんだ。2日に駅ビル行った時、萌の彼氏が女の子と一緒にいるところ」


リサの言葉に頭から冷水をぶっかけられたような感覚が、私を襲った。

< 31 / 207 >

この作品をシェア

pagetop