星降る夜に。
「莉子はどこに住んでるの?」


「東京。下町のほうだけどね。実家で両親と住んでる。姉家族も近くにいるの」


「仕事は?」


「事務。毎日平凡に生きてるだけ」



至って平凡。人生にこれといった波もなかった。誠さんの他に付き合った人もいるけど、別になんてことはない。
結婚することも現実味がないんだ。



「大輔さん、明日はどうするの?」


「莉子とのんびりしたいと思ってる。明後日には帰るから」



私と同じ3泊4日…。一緒に過ごせる時間もあと少し。思い出を作れるのも、あと少し。



「私も明後日帰るの。明日は大輔さんと一緒にいる」



何をしなくとも、この人の隣にいられたらそれでいい。
そんな思いからか私は無意識に大輔さんの肩に頭を乗せていた。
不思議なことに私の頭にフィットする。大輔さんはそっと抱き寄せてくれた。


今だけは自分の気持ちに正直に生きよう。

今までそうじゃなかったわけじゃない。だけどここにいるときくらいは、自分の感情に素直になりたい。
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