東京は梅雨も明けて、暑い日々になった。
早朝から部屋に太陽が射し込んでくるし、蝉も鳴いている。



私はいつも家から制服を着て職場に行く。

家から自転車で30分ほどの小さな配送会社で事務をしていて、ドライバーの人たちもみんな制服で通勤している。
狭いところだから荷物を入れるロッカーはあっても、更衣室はない。



黒地に細いストライプが入ったベストとキュロット(前から見るとスカートに見えるようなやつ)、これに白いブラウスと黒か紺のハイソックス。それにスニーカーを合わせる。

パチンコ店の制服みたいにも思える。



髪はいつもポニーテール。後頭部の一番高いところで結ぶ。

バッグは姉が独身時代に使っていたブランドもののショルダーバッグで、長いこと借りている物だ。




「莉子、おはよう」


「おはよう。準備するだけで汗かいたよ」



実家は古い一戸建てで、私と両親の3人暮らし。すぐ近所に姉の新築の家がある。

両親が経営する印刷所は自転車で10分。母が一人で事務を切り盛りしている。