星降る夜に。
いつも私服の上から作業着を羽織っていて、化粧っ気もない。


ダイニングテーブルには焼き鮭とだし巻き玉子、納豆とお味噌。私と母の分だけだ。

母はご飯をよそって渡してくれた。



「お父さんは?」


「もう工場よ。今忙しくてね。みんな夜遅くまでやってくれてるから、朝はお父さんが早く行って頑張ってるのよ」




倒産寸前まで追い込まれていた工場を救ってくれたのは、他ならぬ誠さんだ。
融資してくれる銀行を紹介してくれただけでなく、仕事をたくさん回してくれたおかげで経営を立て直せた。
業績も安定しているらしい。



「そうだ、今日遅くなるから夕飯いらないからね」


「デート?」



母は嬉しそうに聞いてくる。

今日は仕事が終わってから誠さんと夕飯を食べる約束をしている。



「よろしく伝えておいてね」



結婚するまであと3ヶ月ちょっと。週末には結婚式の打ち合わせもあるし、ドレスもそろそろ決めなくちゃいけない。



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