大輔さんに連絡をしないまま一週間が経ってしまった。

名刺は捨てられなくて、家にあるジュエリーボックスの中にしまってある。その中なら誰にも見られることはないから。


私が連絡をしないことで、大輔さんが私を諦めて忘れてくれたらと思った。




「莉子ちゃん、お昼行っていいわよ。それから外にお客さん」


「お客さん?私に?」


「背が高くてかっこいい男」



岡村さんは私の肩をポンと叩いた。

お客さん…誠さんかな?

ロッカーからショルダーバッグを取り出すと、急いで外に向かった。



8月に入った東京は晴天が続いていて、とにかく暑い。なるべく日焼けをしないように日傘をさした。


裏口から出て正面に回るとガードレールに腰をかけて、会社を覗き込む人がいた。


紺の細身のパンツとベスト、白いワイシャツ。左腕にはフェイスの大きい腕時計。

くっきりとしたその横顔に、思わず見惚れてしまう。


大輔さん…どうして…。



どうしたらいいのか分からなくて動けずにいると、ふいにこちらを向いた大輔さんと目が合った。