星降る夜に。
この気持ちにも、大輔さんにも。




「それは…」


「莉子が嫌がることはしない。友達同士として、メシ食って終わりでいい。莉子に触ったりもしないから」



この人の隣にいたら甘えたくなってしまう。

触りたいし触ってほしい。抱きしめられたい。


…最後はきっと抱かれたくなる。




「大輔さん。私、結婚するの。私には贅沢すぎる、申し分のない人。あの島でのことは何も後悔してない。大輔さんと出会えて良かったと思ってる。だからもう会えない。素敵な思い出にさせてほしいの」



そう、素敵な思い出にしたい。何年経っても、どれだけ年齢を重ねても、いつでもひっそりと思い出せる色褪せない日々。



大輔さんは切なそうに声を絞り出した。



「莉子に会いたいんだ。毎週じゃなくてもいいから…。俺にも夢を見させてくれよ。莉子が隣にいる幸せな夢を」




幸せな夢。

それを言い訳にして彼の隣で過ごすことは許されるだろうか。


私も見たい。大輔さんが傍にいる幸せな夢を。





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