星降る夜に。
お酒が強いみのりは、ジョッキに半分くらい残っていたビールをぐいっと飲み干した。

みのりはアパレルの仕事をしていて、仕事帰りに時々こうして飲みに行く。



「だけど莉子、とりあえずは良かったね。おじさんも経営立て直せて。倒産するかどうかのときは莉子が給料のほとんど家に入れてたし。苦労した分、幸せにならないと」



一時期、私は両親を養っていた。

とは言っても大した給料じゃないし、正社員であるからにはアルバイトも禁止。わずかな貯金も半分以上は切り崩した。


こういうことがあったから、今でも私は自分にお金をかけない。実家暮らしということもあって、使うお金も最低限。
元々物欲もあまりないし、高い物に興味もない。未だに姉から服やバッグを借りているくらいだし…。



「ねえ、幸せになれるのね?あの人がダンナでいいのね?」



みのりは探るように聞いてくる。


リゾートには姉によってみのりと行ったことになっていて、姉同様に大輔さんと知り合ったことを話した。

軽蔑されてもいいからとにかく話して、鎮まらない気持ちを消化したかった。
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