星降る夜に。
「そこね、お姉ちゃんも行ってみたいんだって。ネックレスが欲しいみたい」


「だったら一緒に行こう。それで食事でもしようよ」


「お姉ちゃんに言っておくね」




行きたくなくても、そうは言えない。行きたくない理由を言えないからだ。

せめて姉がいれば、姉のネックレス選びにも付き合えるし、由衣も一緒なら長居しなくて済むかも知れない。



「マンションも決めないとね。申し込みとか審査もあるし」


「この前のところ?」



私たちはドレス選びの日にマンションも見に行った。
彼がパンフレットを持ってきた、人気の再開発エリアの高層マンション。

角部屋で南向き、日当たりも良かったし、バルコニーからの眺めも良かった。



「莉子が良ければだけど」


「私はいいよ。景色も綺麗だったし」


「じゃあ、そこにしよう」



こうして着々と進んで行く。結婚式の準備も新しい家も。

嫌なわけじゃない。いずれ結婚することになることは決まっていたし、彼のご両親も私にとても良くしてくれる。
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