私は髪を乾かして、リビングに戻る。


彼とは別に私をエントランスで待っていた秘書の瀬川さんも居た。



「俺の思った通り…紗月は花柄が似合うな」



彼に唐突に名前を呼ばれ、ドキッと鼓動が跳ね上がった。

こんな最低なコトをされてるのに、私は男の見る目が全くない。

甘い褒め言葉を貰っただけで、ドキドキする自分が心底、許せない。


「座って下さい…紗月様」



私は瀬川さんにも促され、椅子に座る。


テーブルの上に置かれた紙は婚姻届ではなかった。


「これは何ですか?」


「結婚契約書だ」


私は紙を手に取り、冒頭部分を読んだ。

――――――――――


夫・神楽坂怜(以下を『甲』と言う)と妻------(以下を乙と言う)
は、互いの便宜の為に助け合うコトを約束し、この契約を締結する。

――――――――――

「便宜って…」


「俺は君に金を与え、君は俺の子を産む。そうやって共に助け合うと言うコトだ…この結婚は互いの便宜を図るのが目的の結婚」



















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