Fake love(1)~社長とヒミツの結婚契約書~
私と瀬川さんは社長室を出た。



「瀬川…」


「会長…」



廊下に出た途端、新しく就任した前会長の妹・神楽坂一子会長と出くわした。

綺麗なロマンスグレーの髪がトレードマーク。

メイクは濃く、好む服装の色合いも派手で、『レオン』グループの中では会長よりも目立つ存在だった。



「貴方、初めて見る顔ね…瀬川…隣に居る女性は誰かしら?」



一子会長が私に鋭い視線を向け、瀬川さんに問いかけた。



「…怜様の婚約者です」



「怜の婚約者?」



「!?」



一子会長は踵を返して、社長室のドアを開けた。




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