Fake love(1)~社長とヒミツの結婚契約書~
怜はリモコンを操作して、天井のシーリングライトを点けた。


「お帰りなさい…怜」


怜と呼ぶ私の声は相変わらず小さい。

照れ臭さが先走ってしまうのだ。


「ただいま、紗月」

紗月と呼ぶ怜の声は甘い。その甘さが鼓動を跳ね上げてどうしようもない。


「夕食は食べたのか?」


「瀬川さんに回転寿司をご馳走になりました」



「それは俺の金だから…俺がご馳走にしたんだ」



「怜、ご馳走様です」


怜は色素の薄い目を細めて笑う。




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