Fake love(1)~社長とヒミツの結婚契約書~

―紗月sideー

私達が車内に戻るとすぐさま雨が降り出した。


次第に空は厚い入道雲に覆われ、大粒の雨が車体と路面を叩くように横嬲りに降る。


「ゲリラだな…」


ワイパーは忙しく動くが、土砂降りの雨がフロントガラスの視界を狭める。


「サンデードライバーには辛い…」


「別荘が直ぐそこでしょ?」


「1キロ先の高台にある」



怜は弱音を吐きながらも別荘に続く山道をあがっていく。



蛇の蜷局のような道。



怜は真剣な顔でハンドルを切って、ようやく別荘の前に辿り着いた。



「着いた…」



怜は別荘の前に停車するとハンドルに顔を突っ伏せてしまった。



「怜?」


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