キミと帰る道
◆21 エピローグ
【◆21 エピローグ】





(すず)





街路樹や、校門の横に佇む桜は小さな可愛い蕾をつけていて。





春が近づいて。
誰もがウキウキしている。





そんな春は…出逢いと別れの季節———。







「すずー! 写真撮ろうっ」




「ほら、光輝も〜!」





桜の木の下から。
優芽ちゃんと聖羅ちゃんが大きく手を振っているのがわかる。





「すず、行こう」




「うん!」





隣に立つ光輝くんと顔を見合わせて笑って。
ふたりのいるところへと歩いて行く。





がんばったから、いまの光輝くんと私がいる。
新しい形で、いまこうして一緒にいる。





…あのとき。
もういいやって諦めてれば。
我慢できなくて逃げ出していれば。





いまの私はいないんだと思う。






また〝初めまして〟からゆっくりゆっくりと、光輝くんに覚えてもらって。
気がついたら、光輝くんとまた…気持ちが繋がった。





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