●俺●


俺は、いじめられる理由があったとは思わない。

だけどそれがいじめだ。

嫌いだから、ブスだから、ムカつくから、なんとなく、皆に合わせたいから。

華やかな劇の裏には、舞台より大掛かりな劇がある。
青春劇の裏には、皆が平和でいられるように、犠牲が必要なように。

この華やかな青春劇の生贄は、藤沢直也14歳中学二年生。
俺だ。









はじまりは、去年。
中学一年、期待と不安が入り混じったまま入学。
馴染もうと努力し、キリキリ気を張り詰め、2ヶ月を過ごした。

八方美人。
俺に合う言葉だったろう。
所詮偽りの笑顔。
なんと言われたって構わない。俺はクラスで浮きたくなかっただけだ。
教師に気に入られていれば、何かあれば救ってもらえる。
そうタカをくくっていた。
実際、何もできない。教師なんて。
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