裕美



俺が初めて日高に会ったのは、下校時だった。

俺は1人で帰るのが好きだから寄り道しながら、ゆっくり帰る。
日高は髪をざっくばらんに切り、気を遣っていないのが見てわかる。
そしてヘアバンドをして、いつもブレザーを着ている。
夏でも長袖を着ているから、すぐに誰だかわかるのだ。

日高は川を見ていた。






「日高?」
「??!!」

日高はビクッと肩を震わせ、俺の方を向く。

「日高だよな?藤沢です」
「何よ。あんたもアタシを殴りに来たわけ?」
「え・・・?」

殴る?いや、そんなつもりはない。
クラスメイトなんだから、話しかけたっていいだろう。
まあ、そんなことはどうでもいい。

「男子は皆そうだわ。アタシをまるで玩具みたいに・・・近付かないでよ!!」
「ひだ・・・か?」
「気安く呼ばないで!」
「じゃあ、ゆーみん?」

日高の顔が蒼白した。

「アタシのあだ名を知ってる?昆布よ!ゆーみんなんて可愛らしいのはあんたには似合わないって、まるで昆布みたいな頭だって、めちゃくちゃに髪を切られたわ!」
「日高・・・」

日高は、俺の身体をドンと押した。

「殴らないで・・・!」
「殴らないよ」
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