グッバイ・メロディー


と、思っていた矢先のこと。


「このあたりでアレなことも聞いといていいですか?」


なんて、ヒデさんが思わぬことを言ってくれたのだった。


「みんなめちゃくちゃかっこいいじゃんね。ぶっちゃけ、モテるでしょ?」

「いやぶっちゃけ、ぜんぜんです。基本的に、運動部に所属して活躍してるスポーツマンのほうが人気ありません?」


トシくんの、妙に信憑性のありそうな言葉に、ヒデさんとアキくんがげらげら笑った。

「マジそれな!」と答えるアキくんは帰宅部だった中学時代から最強にモテモテだったくせに、とんだ嘘つきだ。


「あー、おっもしろい、すげー笑った。みんな好きな女の子のタイプとかってあったりするんですか?」


そんな俗っぽい質問に「家庭的な子ですかね」とトシくんが無難なことを言えば、「胸のサイズ感は大事っす」と、アキくんが悪びれもせずに言った。


すかさずみちるちゃんが「あたしはBカップだぞ!」とラジオにむかって言う。

いつもどんな服もきれいに着こなせる、このスタイルの良さのことをアキくんは言っているのだと思う。


話を振られたヒロくんは少し考えてから「肌と髪のきれいな子」と言った。

絶対いま、てきとうに考えた。


こうちゃんはなんと答えるのかなあ、とどきどきしていると、あろうことか、彼はいつもの調子で「ないです」と言い放ったのだった。

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